よく言われていることだが、明確で断言的な言説の方が人々の共感を呼び尊ばれる。それが今そこにある危機となっている。本や映画の話しではなく現代日本の話しだ。関係の芳しくない周辺国が軍備を増強したら自国も軍備を増強する。核武装も辞さず、あまつさえ先制攻撃も専守防衛の一部という始末。園児でも分かる実に単純明快な言説だ。でもこの考え方は、これまで人類が経験してきた殺戮や戦争の延長線上にある。
歴史的パースペクティブで考えれば、現在は殺戮に懲りたから、何とか別の方法を見出そうとす模索の時期にある。そこで試みられることがなかなか実を結ばず、明確で断言的な方向性が示せないのは当然だ。
目先の安全や生存権は議論の余地などない当然の権利だ。一部の政党が、それすらも否定しようとするから、話しがややこしくなり、結果として旧態依然とした単純明快な言説に主張する機会を与えてしまっている。彼らの闘い方は実に愚かだ。だからと言って、目先の今そこにある危機に対して旧態依然とした単純明快な言説を尊んでいては、目先の後に続く未来を失う。これこそが本当の今そこにある危機だ。
新たな方法を確立するために、根気強く模索の時期を乗り越えなければならない。ある有名な漫画のセリフ「あきらめたら試合終了」、しかしこの試合に勝者はいない。

