dormitor-ic apartment

緩やかな斜面に広がる葡萄畑に,ある精密機器メーカーが移転してきた.一緒に転入したスタッフも多く,彼らの住まいとして,先ずは寮を建てることになった.

寮といっても,道の向かいの社屋に食堂があるため,この寮に食堂はない.しかし,会社と往復するためだけのアパートでは何かが欠けている気がした.そこで思い出したことがある.昔出張でよく利用したホテルには,寝る迄の間,酒を片手に話したり,読書をしたり,仕事をできる居心地の良いカフェがあった.この寮にもそんな居場所を設けてはどうかと考えた.

緩やかな斜面にある敷地には,真中辺りに1m余の段差がある.上段には駐車場下段には二階建て共同住宅を配置し,段差も含め,玄関先を二層丸ごと覆ってこの寮のカフェにした.そこから半階下がれば一階,半階上がれば腰掛付きの二階廊下に至る.各住戸は完結したワンルームだが,カフェとの繋がりを重視し,部屋の入口側に大きな掃き出しを設け,最も奥の窓際を浴室や寝床にしている.

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