51C白書 私の建築計画学戦後史 鈴木成文 著

文章を書くための参考に何冊か本を読むことにした.そのうちの一冊がこの本だったのだが,読むスピードが遅く読み終わる前に殆ど書き終わってしまった.今は確認のために読んでいるのだが,面白い.51C型は建築をかじった者なら聞いたことあるかも?なのだが,その時代背景が書かれている.それが戦後史で親世代がつくってきた時代だ.今,私が設計者としてあれやこれや考えることは,意識無意識に関係なくその時代の影響を間違いなく受けている.

実は私は客観性や論理性に必要以上の関心はない.前にも書いたかもしれないが,客観性のある論理的な説明で皆が理解できるということは,誰でも同じように考えることができるということでもある.つまり,知ってしまえば特別なことではなく,そこには惹きつけられる特別な不思議が,私にとってはあまり感じられない.関心があるのは物事の関係性だ.なんだそりゃ?と思うとき,或いは途中まで同じように物事を考えているのに最後で反対向きになってしまうようなことがあったとき,何がどうするとそうなるのか,同じことに出くわしても人それぞれそこから感じ取るものが違うとこにこそ魅力を感じる.

この本は,殆ど書き上げてしまった私の文章と,着眼点やそこから展開していく過程が近い部分があると感じているが,向かっていく方向が少し異なったりする.それが何に影響されているか当たりはついていたので本文の中には触れてある.参考のために読もうと思った数冊の本に期待していたのは,ものを考えるための定規としての役割だ.根本的に何もかもが違っているのか,或いは殆ど同じなのか気がかりだったが,同じように考えているのに差が生まれていることが確認できつつある.少しほっとしている.

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